山田 沙奈恵 Sanae Yamada
– 群れたち –
会期 2018年2月24日(土)−3月10日(土)
時間 13:00~20:00 ※月・火曜日は休み
会場 S.Y.P Art Space
■オープニングレセプション 2 月 24 日(土)18:00~20:00
山田沙奈恵ウェブサイト http://sanaeyamada.com
本展では、ポートランド(アメリカ、オレゴン州)での滞在制作を通して制作された「Rhythms from Neighborhood」、新潟県の松之山の集落で、冬季に降雪から家を守るためのルーティンワークである「雪ほり」に取材した「With Friction, As Friction」など、山田自身が異なる環境に身を置くことによって作られた二つの映像作品と、並行して制作された小作品を展示します。
「滞在制作という形で各地に少しずつ滞在するなか、場所や個体の有限性に基づいて、マイクロな文化圏ともいえるような集団がそれぞれに形成されているのを見てきました。その中で人は風景のストラクチャーの一部であるかのように分かち難く機能していて、私はそれぞれの独自性に魅了されながらも、集団同士の別々さや動かしがたさに、部外者として触れがたいものを感じ、途方に暮れる思いがすることがしばしばありました。そのようなときに興味を惹かれることは、日常のルーティーンや労働などの振る舞いが、その個のなさゆえに個の有限性を超えて過去や未来へと結びつくこと、そうした無名性のもたらす領域や、あるいは視点のスケールや時間の縮尺を変えて眺めたときに、別々の集団とみえたものを編成しなおせるような可能性です。
そうした思考を制作の中でイメージへと比喩的に変換し、制作のうちに現れた予期しないものや、作品となった結果を現実のメタファーとして逆方向へ翻訳する。そのような往復する思考の通過するところとして、展覧会を構成します。」
山田沙奈恵
1987年群馬県生まれ、東京都在住。
武蔵野美術大学造形学部視覚伝達デザイン学科卒業、東京藝術大学大学院美術研究科デザイン専攻修了。
社会において共有されたイメージと、特定の場所に個別の身体を持って生きることとの摩擦をみつめること、それらが接続しうる瞬間/状況を見つけることを目的として制作する。アーティストインレジデンスなどの機会を用いて、自然と境を接する集落の周縁部や、都市開発の現場など、複数の視点がぶつかる場所を観察することを制作の起点としている。
インスタレーション、映像、ドローイング、写真など、作品に応じてメディアを横断し、組み合わせて使用する。しばしば物事の間の類似を比喩として用いて、生活のルーティーンや個人的な体験などの延長線上に、既にイメージとなって身体感覚から離れてしまったものを想起させるなど、制作行為の中でその連続を辿ろうとしている。