Emerging Artist Review 「例えば歩きつづけてみたら、」

展示イメージEmerging Artist Review  「例えば歩きつづけてみたら、」

小林 琴美・宮下 和・田所 尚平
2月26日(金)〜 3月1日(火)13:00 – 20:00

Opening Party : 2月26日(金)18:00 – 20:00
Artists Review (作品についての意見交換) : 2月28日(日)17:00 – 19:00

Emerging Artist Reviewとは、(http://arttokyo.sub.jp/?p=239

若手アーティストの発表と経験をサポートするために、美術関係者(評論家、キュレーター、ギャラリストなど)との交流の場をつくります。
アーティストは作品を発表し、そこに集まる様々な方よりいろいろな意見・見解を受ける事ができ、美術関係者は新たなアーティストを発見・育成する事ができます。

展覧会期中には美術関係者を招いたトークを行ない、作品についてや、アーティストとしての生き方などについてお話をしていただきます。

若いアーティストの作品について興味のある方、美術関係者からの話を聞きたい方は、今回のトーク 2/28(Sun) に、ぜひお越しください。お待ちいたしております。

作家によるコンセプト

・小林琴美
小林感動ではなく、言葉にできない感情を表現したい。目には見えないけれど、確かに知覚できるものがある。ときに見ているものはその周囲であることもある。そのときの感覚は、例えばある音や匂いから過去を思い出すことに近い。そのような不在の中に存在するものをどうしたら証明できるだろうか。写真や絵画、立体を扱い、より鮮やかにより確かにして、再度味わうこと。それが制作になっている。

・田所尚平
田所自分は先駆的覚悟性に基づく場面が多い。
そこにいくと、自身の死に様を晒すことほどアホらしく能うことは無い。僕は自分が世界と対等になる瞬間が堪らなく好きだ。そのときだけ、自分は本当の自分を取り戻す。
何の負い目も無く、一点の望みすらない。我という境界がなくなり時の流れは宇宙と一律になる。
おれは地球上を歩いている!
おれは地球上を、歩いている!

・宮下和
宮下日常生活の中でのささいなことから着想を得て、人の営みの副産物である生ごみやゴミ袋を使った作品を制作をしている。
人の記憶は毎秒ごとに入れ替わり形を変えていくけれど、”もの”に残された人の痕跡は消えることなく残り続けていく。
現在進行形で無意識に流してしまっている情報の価値を再提示するために、いつのまにか忘れてしまった膨大な情報を、生活に身近な”もの”を使って表面化させる。

 

あいさつ

今展覧会は、若手アーティストと美術関係者とのネットワーク構築を一つの目的とした展覧会です。若 手アーティストが作品を制作し、発表する事で、表現をいかにして鑑賞者に伝えるかという事、伝える為 の方法の模索を通して自らの作品をもう一度客観視し、コンセプトや表現の強度などを再構築していく経 験となります。

今回の ” Emerging Artists Review “ では、多摩美術大学在学の小林 琴美・宮下 和・田所 尚平の3人 が – 例えば歩きつづけてみたら、- というタイトルのもと作品を発表いたします。 小林はエスキース・ドローイングとして捉える写真を、作品と並べる事によって、作品として制作する ものとの差異、そしてコンセプトを伝えるために生じる違和感を、宮下は消えてしまうものを一時的に留 める事によりそのもの達が持つ記憶を呼び起こす、田所は自らの疑問提起を文章におこし、そこから伝わ る情報を自身が床に描く事でそれがその文章を補強するものになり得るのかという作品を発表します。

今展覧会にて、3人の若いアーティストは鑑賞者のみなさんからの様々な意見を自分の中に取り込んだ り、またそれらの意見の中で自分の考えを強化させる為にその違いを受け入れたりすることで現時点での 作品表現から更に進化しそれぞれが確立していく力を養っていきます。

2016.2.25 現代美術作家 吉野 祥太郎