ハコニワ作り

子供向けのイベントと思い参加した箱庭作り、真夏のグランドに出て砂をめ、松林の中で
小草花を探し、教室に戻って予め用意されていた色々な土を使い層を作ってそこに草花を植
えこむ箱庭作り。夏休みの自由研究みたいとおもっていたところ、講師の方から「土の層に
は人それぞれの思い出が重なっています。皆さんの思いをそれぞれの土に込めながら箱庭を
作って下さい。」との一言で、今まで使っていなかった脳の一部がピクンと動いたような気
がした。
地質調査で地面をボウリングし地層のサンプルを取ると、そこには何万年前から積み上げ
られた綺麗な横縞模様を見ることができる。それは、その時代その時代の自然が長い時間を
かけて醸し出した歴史を色に変えて積み重なっているのだろう。この時代にはどんな生き物
がどんな生き方をしていたのだろう。人はどのようにして生きていたのだろうと思いを巡ら
す地層の世界である。
小須戸の展示会場に足を運んだ時、管理事務所の女性が「人も層を作って生きているよう
な気がします。」とおっしゃっていた。う~ん確かに。生活の場所、人との出会い、仕事、
趣味他、カテゴリーは様々だけれど、他人には見えないその時その時の色を重ねながら私達
は生きている。
我が身を顧みれば、私自身の人間地層を足元を見ながら考えてみると、ピンク、グリー
ン、ブルー色々な色が見えてくる。どうもお腹のあたりに黒い層が見え隠れしているような
気がして笑ってしまうのだが、世界土協会の方々にお会いして、「土美学」に少し触れさせ
て貰ったことにより、間違いなく私の中にまた一層、色の違う土が積み上げられたと感じて
いる。