An Art User Conference 未来芸術家列伝Ⅳ:宇宙と貨幣

 

未来芸術家列伝Ⅳ:宇宙と貨幣
Lives & Opinions of Future Artists Ⅳ: The Universe and Its Currency

会期:2017年10月26日(木) – 11月5日(日)12:00 – 20:00
初日10月26日は16:00 – 20:00、最終日11月5日は12:00 – 19:00

主催:An Art User Conference

協力:S.Y.P Art Space、青山|目黒

助成:公益財団法人東京都歴史文化財団アーツカウンシル東京

An Art User Conference(「未来芸術家列伝Ⅳ」):

松井勝正、橋本聡、知念藍(No Collective)、高嶋晋一、ユーザーの声 ほか

https://anartuser.tumblr.com

 

この度、S.Y.P Art Space ではアート・ユーザー・カンファレンスによる《未来芸術家列伝Ⅳ:宇宙と貨幣》を開催します。アート・ユーザー・カンファレンスは既存の作者、観賞者、批評家、キュレーターなどとは異なる「ユーザー」という立場から、既存のアートの在り方や概念を問う活動を展開しています。『ロバート・スミッソンなしのロバート・スミッソン』のプロジェクトでは、アース・ワークの先駆者、故ロバート・スミッソンを架空の「作者」として使用し、巨大なアースワーク(風の沢ミュージアム, 宮城)を実現させて話題となりました。本展は10年前より予告され続けてきた『未来芸術家列伝』の口火を切る記念すべき展覧会です。「未来」として予告されてきた「芸術」が、どのようなかたちで実現されるのか、ぜひ立ち合って頂けたらと思います。

『未来芸術家列伝』は、本展終了後の11月5日《未来芸術家列伝Ⅳ:東京ツアー「人間/時間/空間のヒエラルヒー》国会前集合』、年末《未来芸術家列伝Ⅳ:オーダーと第Ⅰ次世界大戦》と続いていく予定です。詳細は https://anartuser.tumblr.com をご確認ください。

 

『《宇宙》は最古のレディメイド』

宗教の時代、《宇宙》は神という作者の作品だった。しかし、信仰が弱まるにつれ、《宇宙》がレディメイドだったことが明らかになった。『未来芸術家列伝』には最古のレディメイドとして《宇宙》が掲載される。その作者として、ピタゴラスやプトレマイオス、ニュートンやアインシュタインといった膨大な数の哲学者や科学者の名前が並んでいる。彼らはそれぞれ《宇宙》を発見し、そこに名前と日付を刻んだ。さらに続けて、その作品が既に失われてしまった作者の名前が膨大に並んでいる。プラトンが燃やしてしまったデモクリトスの宇宙は灰となって未来のどこかにも漂っている。

《宇宙》は138億年前に誕生したと言われており、現在も日々新たな発見をもたらしている対象です。マルセル・デュシャンのレディメイド以降、芸術の概念は、作家が創造するものから、観賞者が発見するものへと広がりました。最古のレディメイドである《宇宙》は、そうした動向の終着点に現れる作品だとも言えます。

《貨幣》は人類の歩みにおいて「信用創造」という過程で生まれました。つまり、未来への信用を担保にして現代に現れた対象です。それは未来のイコン、フェティッシュとして、私たちの信仰心に問いかけてきます。それは抽象性と象徴性が極点に達した姿だとも言えるでしょう。

『露天掘りのダイヤモンド鉱山』

私たちの銀河は、グレート・アトラクターと呼ばれる領域に向かって動いています。私たちも未来の目標に向かって動いています。ダイヤモンドの魅力は、大地に巨大な露天掘りの穴を開けました。隕石は地球に引きつけられて衝突し、大地に巨大なクレーターを作ります。すべての運動は、逃れられない引力を持った目的に向かっています。そして私たちは逃れられない引力によって、未来へ向かって落下し続けています。

写真をよく見ると虫のように小さなダンプトラックが見えます。全ての写真がロシアにあるミール鉱山、1250x525mの巨大な穴。世界のダイヤ産出量、第1位はロシアで、その9割がここから産出されています。その巨大さから上空に下降気流ができるため、ヘリコプターでの飛行は禁止されています。

「未来芸術家列伝IV」は、《東京ツアー「人間/時間/空間のヒエラルキー」国会前集合》(11.7)、《オーダーと第Ⅰ次世界大戦》(12.29 – 2018.1.2)と続いていきますので、あわせてご高覧ください。

An Art User Conference

2014年設立。主な活動として『未来芸術家列伝』、『Robert Smithson whithout Robert Smithson 』などがある。「アート・ユーザー・カンファレンスは、「芸術なしの芸術」、つまり既存の芸術という制度の外で生じる芸術を探求します。アーティスト、観客、批評家、キュレーター、コレクター、美術館などが各々の役を演じ分け、「芸術」という物語を支えています。物象化された作品、「創造性」という神話、「公共性」という幻想がその舞台装置を作り上げます。アート・ユーザーはそうした芸術の物語には参加しません。アート・ユーザーは芸術を「使用」します。使用は、物象化された作品を解体し、創造の神話をレディ・メイドの時間に墜落させ、公共性という幻想を消耗させることでしょう。使用の目的は芸術を使い切ることにあります。使い切ることは芸術を倹約しながら死に向かわせます。」